タグファーツ 長尾先生のコラム
テーマ:どうする!?他犬との関わり(犬慣れ、他犬との関係性)
「愛犬に犬友達をつくってあげたい」そんな思いをお持ちではないですか?お散歩で、ドッグランで、お出かけ先で、愛犬と飼い主にとって楽しい思い出づくりをしたいと望むのは当然なことでしょう。そして、そこに犬友達との交流が加わることでより楽しい思い出になるのでは?たしかにそうかもしれませんね。では、実際にどのようにすれば犬友達をつくってあげることができるのでしょうか。また、犬にとって他の犬との関わりとはいったいどのようなものなのでしょうか。
日々、愛犬との暮らしを送っていく中で、お散歩やお出かけのシーンにおいて必ず他犬と出会う瞬間が訪れます。このときあなたはどうしますか?この他犬との関わり方というものが愛犬にとって非常に重要なものなのです。というのも、他犬との関わりが愛犬の性格を形づくる大きなきっかけになる可能性があるからなのです。
まず、他犬との関りとは何なのかということから考えてみましょう。犬は群れ(集団をつくり生活する形)を形成する習性があるとされています。実際にたくさんの犬たちが集まると、いくつか集団が出来上がり群れを形成している様子が見られます。群れでは必然的に犬同士の関りを持つことになります。じゃれ合いながら遊んだり、追いかけっこをしたり、時に小競り合いや、ケンカなんかもします。その中で楽しさや痛み、寂しさや葛藤、そういった感情に触れるのです。それは犬たちにとって大いに重要な学習と言えるでしょう。
そして、犬の社会は縦社会であると言われています。群れの中では優劣をつけようという動きが見られます。強いものには従わなくてはなりません。そのルールを知ることで服従心を覚えます。それは、犬が群れの中で生きるために必要な本能と言えます。そういった経験をできなかった犬たちは問題行動が激しく、しつけによる成長を鈍らせる傾向にあるという研究結果も出ています。以上のようなことからも、他犬との関わりが愛犬にもたらしてくれるものは非常に大きなものがあるということが分かりますね。
では、積極的に犬友達をつくりに行きましょう。しかし、どうやって犬友達をつくればいいのでしょうか。
犬同士のあいさつを知ること
犬同士が接するときには必ずあいさつを交わします。そのやり方には個性は出るものの、一定のやり方があります。まずは鼻をつき合わせる行動を取り、お互いの理解のもとお尻を嗅ぎ合います。犬の嗅覚は非常に優れており、こうすることで情報を得ているのですね。においを嗅ぎ合うことにより相手の事を知り、自分の事を知ってもらうことができるのです。そういった犬の習性を知っておきましょう。このあいさつができれば犬友達の第一歩となることでしょう。
しかし、時に相性が合わず、あいさつをできない場合もあります。あいさつを交わしたいと思ってもいきなり近づけたりせず、まず飼い主同士で確認を取るようにしましょう。これで犬たちの輪の中に入って行き、簡単に仲良くなってくれれば問題ないのですが、愛犬の中には飼い主とは簡単にコミュニケーションが取れるのに、他の犬に対しては上手に接することができない、そんな子は意外と多いようです。
例えば、
・尻込みをしてしまい逃げ惑う
・積極的に行き過ぎて嫌われてしまう
・激しく威嚇(いかく)し、攻撃的になってしまう
などの表現をしてしまう場合はそれにあたります。これではなかなか犬友達はできないでしょう。
なぜこういった行動を取ってしまうのでしょうか。原因は様々あります。
・箱入りにしてきたがために、自分を同じ犬と理解できない
・社会化期(コラム:「パピーの時期のしつけ」を参照)を適切に過ごせないことにより、犬社会のルールが分からない
・過去の経験により、犬に接することが怖くなった
などが考えられます。
原因を考えれば、愛犬を迎えたときの飼い主の行動いかんによって左右されるところが大きいようです。愛犬を迎えたら他犬などに慣れるための「犬慣れ」を考えてトレーニングをしてあげることです。他犬が苦手になってしまってもあきらめることなかれ、トレーニングを根気強く続ければ犬との関係をつくってあげることができるのです。
ここで犬慣れのための大切なポイントととして、どんな犬でも人と同じように初めて会うものには緊張したり、こわばったりしてしまうものです。その不安の中にいる時に、信頼できる存在がそばにいてくれたらどんなに心強く感じることでしょう。その存在を飼い主が担ってあげましょう。飼い主が愛犬と信頼関係を築いていれば、愛犬は安心して新しい出会いに飛び込んでいけるのです。飼い主が不安を感じていると、当然愛犬にもその不安が伝わってしまいます。愛犬と信頼関係を築き、対処法を学び、自信を持って接すること、これを心がけていただきたいのです。
さて少し勇気を出して、愛犬とお出かけしてみましょう。犬たちの出会いだけでなく、飼い主さん同士の新たな出会いも生まれることでしょう。それは、情報交換の場にもなりうるのです。ドッグライフをより豊かにすることにぜひつなげていきましょう。
難しいと感じたときにはプロの手を借りてくだい。必ずお力になれるはずです。愛犬の犬生を思えばこそのドッグトレーニングということを忘れてはいけません。愛犬を良きパートナーとすべく、ともに成長をしていきましょう。