タグファーツ 長尾先生のコラム
テーマ:コマンド(言葉でのコミュニケーション)
「愛犬と話しをすることが出来たら」なんて、そんなことを夢想してやまないものですね。犬と言葉を使ってコミュニケーションを取ることができればどんなに良いことでしょう。しかし、残念ながら犬は人の言葉を扱うことはできません。犬は吠えることで自分の要求を伝えることはできますが、愛犬と暮らすうえで吠えることを助長はさせたくないものです。
では、犬と言葉によるコミュニケーションを取ることはあきらめなければならないのでしょうか。
愛犬を迎えたら飼い主として何を教えますか?飼い主は愛犬にしつけを通じて様々なことを教えなければなりません。その中でも「おすわり」や「おて」などを教えたいと思っている方は多いのではないでしょうか。飼い主の指示に従い、命令通りに動いてくれる。犬にはそういった能力が備わっていることを多くの人が知っていることでしょう。その飼い主の命令に従わせるための命令語を「コマンド」とも言います。(以後コマンド)
これは「言葉」ではないでしょうか。そう、犬は人の言葉を理解し、言う通りに行動することができるのです。ということは、コマンドを教えていくことで言葉によるコミュニケーションが可能になるという訳です。
コマンドを使いトレーニングをしていくことは、愛犬と暮らすうえで大切なコミュニケーションとなり、そしてしつけにおいての必須事項となるものなのです。
では、家庭犬として覚えておくべきコマンドについて述べていくことにしましょう。まず、基本として「おすわり」と「ふせ」を練習しましょう。服従作業としても基本となる姿勢です。
おすわり
お尻を下につけ、座っているような姿勢をとることです。これは指示待ちの姿勢とも言える基本的な姿勢です。
ふせ
お腹を下につけ、寝そべっているような姿勢のことです。
狩りの時のセットと言われる姿勢で、相手に自分の気配を感じ取られないように姿勢を低く、待ち構える際に使うものです。しかし、家庭犬の場合に狩りは必要ないですね。反対にリラックスの姿勢として覚えさせると良いでしょう。以上をマスターしたら次のステップへ進みましょう。
ここからはコミュニケーションのためのみならず、愛犬の健康や命を守るための最低限のコマンドを教えていきましょう。
おいで
呼びかけに応えて飼い主のもとに帰ってくることです。万が一、散歩中にリードから放れてしまったらどうしますか。この時「おいで」をマスターしていれば緊急事態を回避できるかもしれません。
まて
号令によって動きを止め、がまんをすることです。ご飯の前の「おあずけ」をイメージされる方も多いでしょう。しかしそれだけでは不十分です。「まて」をマスターすることで様々な場面での飛び出しを防止でき、さらに忍耐強い子になっていくことでしょう。
ハウス
ケージやクレートの必要性についてはコラム「愛犬にとって幸せなお家づくり」にて説明している通りです。ハウスの号令で入れるようにしておくと、管理をするうえでとても役に立ちます。
ダメ
やめなさい、やってはいけないということを伝えるコマンドです。この言葉はここまで述べてきたコマンドとはイメージが違うものになるかと思います。一番理解してもらいたい言葉ではありますが、教えるためには根気と工夫が必要になる言葉です(やみくもに使おうとすれば、逆効果になる場合もあるので要注意です)。
などなど、他にも様々な必要なコマンドがありますが、最低限として以上の言葉をまずはマスターすべくコマンドトレーニングに励みましょう。
コマンドをマスターするための方法は様々あれど、ここで大切なポイントを1つ言えるとしたら、「楽しむこと」です。飼い主が楽しんで教えていると、愛犬はそのことが嬉しくてたまらなくなるものです。すると、「次も次も」と意欲的に取り組んでくれるようになります。お互いに楽しみながらできるとトレーニングが捗ること間違いないでしょう。
犬の能力は計り知れないものがあります。言葉の理解力は250語とか300語もの言葉を理解できると、一説では言われています。
飼い主としてその能力をしっかり引き出してあげることは愛犬との生活をより豊かにしていくことになり、さらには愛犬の命を守ることにつながるという訳です。
みなさま、コマンドをただの一芸とあなどってはいけません!日々少しずつ、1つずつで構いません。コマンドトレーニングをがんばりましょう。愛犬と共に成長していく喜びや達成感は何ものにも代えがたいものです。そのために我々ドッグトレーナーも存在しています。
みなさまが愛犬を良きパートナーとして育てていってくれることを期待しています。