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愛猫にとって最適なキャットフードとは?④|なぜ“完全肉食”の猫に植物性原材料が使われるのか?

前回までの記事では、「猫が本来どんな食性を持つ動物なのか」「動物性タンパク質の質でフードの良し悪しが大きく変わる」という内容をお話ししました。

今回は、飼い主さんから最も質問が多いテーマのひとつ、
「なぜ完全肉食動物である猫のフードに、植物性原材料がこんなに多く使われているの?」
という“根本的な疑問”に踏み込みます。

実はこれは、メーカー側の都合・製造面の事情・栄養学的背景が複雑に絡んだ問題であり、理由を知ることでラベルの“違和感”が驚くほど理解できるようになります。


1|キャットフードに植物性原材料が使われる“本当の理由”

キャットフードの原材料表を見ると、トウモロコシ・小麦・大豆・えんどう豆など、植物性の食材が多く使われているものが少なくありません。

しかしその多くは、猫の生理学に合っているからではなく、メーカー側の事情で使われているケースがほとんどです。


2|メーカー側の都合と栄養学的な背景

●① 価格を安定させるため

肉や魚は価格変動が激しく、天候・漁獲量・輸入状況に左右されます。
一方、植物性原材料は 大量生産が可能で、価格が安定しやすい

→ つまり、メーカーにとっては“コストコントロールしやすい”食材。

●② 形状を保つためのつなぎ・加工上の必要

ドライフードは、高温高圧で押し固める「エクストルーダー製法」で作られます。
このとき植物性原材料(特にでんぷん質)があると、

  • 粒が固まりやすい
  • 割れにくいペレットが作れる
  • 歯で噛んだときの硬さを均一にできる

といった“技術的メリット”があります。

●③ 栄養成分値の調整のため

AAFCOやFEDIAFの栄養基準を満たすには、
たんぱく質・脂質・食物繊維・ミネラルなどの比率を調整する必要があります。

植物性原材料は、この調整をしやすいという背景があります。


3|コスト調整としての“かさ増し”の実態

植物性原材料が多く使われる理由で、最も大きいのはこれです。

●肉よりはるかに安い

原価が安いため、
「原材料のかさ増し(ボリューム調整)」として使われることが多いのが実情です。

問題は、
原材料の上位に植物性がずらっと並ぶフードは、肉量が少ない可能性が高い
ということ。

つまり、猫本来の食性からは大きく外れてしまいます。


4|植物性タンパク質が増えることで起こりやすいトラブル

猫は完全肉食動物であり、植物性タンパク質は本来得意ではありません。
そのため植物性原材料が多いフードでは、次のような問題が起こりやすくなります。

●① 消化不良・軟便

豆類・穀類は猫の消化酵素では分解されにくく、
未消化物が腸に残る → 軟便・ガス・腹部不快感につながる

●② 食物アレルギー

大豆・小麦・トウモロコシはアレルゲンとして有名。
アレルギーのある猫では、皮膚炎・痒み・涙やけ・慢性下痢などが起きることも。

●③ 必須アミノ酸の不足リスク

猫に必須のアミノ酸(タウリン・アルギニンなど)は動物性に豊富。
植物性が増えるほど、アミノ酸バランスが崩れやすい


5|グレインフリーでも植物性原材料が多くなるケース

「グレインフリー=肉が多い」と思われがちですが、
実はそうとは限りません。

穀物を使えないため、その代わりに

  • えんどう豆
  • ひよこ豆
  • じゃがいも
  • タピオカ
    などの “別の植物性原材料でかさ増し” を行うメーカーも多いのです。

つまり、
グレインフリーでも“肉たっぷり”ではないことがある。

ここは多くの飼い主さんが誤解しやすいポイントです。


6|獣医師として必ず確認しているポイント

猫の健康を守るために、私がラベルを見るときに必ずチェックしている点は次の5つです。

① 原材料の最初の5つに「動物性」がどれだけ入っているか

ここはフードの“本質”がわかる部分。

② 植物性原材料の量が不自然に多くないか

特に豆類・でんぷん類が多い場合は注意。

③ 動物性タンパク質の“質”

「生肉/生魚」がどれだけ使われているか。
“ミール”が使われている場合は、その質を見極める。

④ グレインフリーの“代わりに何が使われているか”

豆や芋でかさ増しされていないかは重要ポイント。

⑤ 成分分析値のタンパク質比率

タンパク質が多くても、
植物性由来が多いと猫には適していない場合がある。


まとめ

猫は“完全肉食動物”。
しかし、市販の多くのフードには植物性原材料が使われています。

その理由は、

  • 製造しやすさ
  • コストの安定
  • 栄養値の調整
  • かさ増しのためのボリューム確保

といった メーカー側の事情 が大部分を占めています。

今回のポイントを理解しておくと、
ラベルを見た瞬間に「このフードの中身の質」がわかるようになります。


【次回予告】

愛猫にとって最適なキャットフードとは?⑤|良質なキャットフードはどこが違う?

次回のテーマは、いよいよシリーズの核心ともいえる
「本当に良質なキャットフードは何が違うのか?」
というポイントに踏み込みます。

市販フードにはさまざまなタイプがありますが、
よく見ると “良いフードに共通する特徴” がいくつも存在します。

例えば——

  • 原材料の“質”と“配合バランス”の違い
  • 表記のどこを見れば「肉の量」が実は分かるのか
  • 同じ“高タンパク”でも中身に大きな差が出る理由
  • 価格と品質の関係に潜む落とし穴

これらを知ることで、
「何となく良さそう」→「なぜこのフードが良いのか明確に分かる」
というレベルにステップアップできます。

愛猫の健康寿命を左右する大切な“食事の質”。
その違いを、栄養学・臨床経験・原材料の視点からわかりやすく整理して解説します。


臨床獣医師として
“本当に安心しておすすめできるフードだけ”を厳選しました。

 BASE|猫用フードカテゴリ

(アカナ・オリジンを中心に、全年齢対応・低GI・高タンパクのフードを厳選しています)


筆者プロフィール

筆者:亀森 直(かめもり なお)
獣医学博士。臨床獣医師として22年、動物病院の院長として16年の経験を持つ。
犬猫の栄養学・消化生理・腸内環境の研究を専門にし、病気予防を目的とした食事指導を多数行う。
岡山県にて「動物病院・トリミング・ペットホテル・保護猫カフェ」を複合的に運営。
自身の長年の臨床経験と科学的根拠に基づき、“本当に良いフードとは何か”を一般の飼い主にわかりやすく発信している。

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