タグファーツ 長尾先生のコラム
テーマ:「愛犬とのお散歩」(散歩をうまく使いこなそう)
みなさま、「愛犬とお散歩」されていますか?おそらく全く散歩をしないという飼い主は皆無であると言って差しつかえないでしょう。それくらい「お散歩」というのは犬を飼う上で必須のお世話の1つとなっています。
では、「お散歩」をすることの本来の意味や、正しい行い方を理解して取り組んでいる飼い主はどれくらいいるでしょうか。散歩がただただ、お世話の一環となっていませんか?それはせっかくの愛犬との楽しい暮らしを送る上でとてももったいないことです。お散歩はうまく使いこなすことで愛犬との暮らしをより豊かで楽しいものにすることができるのです。しつけ、トレーニングにおいても非常に効果の高いものです。ぜひみなさまには「上手なお散歩」をマスターしていただきたいところです。
お散歩をする意味
散歩をすることの本来の意味を理解しましょう。みなさまは散歩をどのような目的で行っていますか?「運動」のため、「トイレ」をさせるため、「リフレッシュ」を考えて、「行きたがる」から、などなどでしょうか。どれも間違いではないでしょう。しかし、散歩に行くことには本来の目的があるのです。それは、愛犬の「しつけ」のために行くということですこれを忘れずに心がけましょう。
「しつけ」というのは教育です。つまり、お散歩は言うなれば愛犬の「課外学習の場」とうわけです。「お散歩」を通じてものを見て、音を聞いて、においを嗅いで、外の世界を体験してもらうことで、そこではどのように過ごし行動するべきなのかを教える絶好の場としていただきたいのです。
犬にとって外の世界は様々な好奇心をそそるもの、魅力的なものがあり、はたまた恐怖を覚えたり、緊張を強いられることもある、そういったところです。存分に本能を発揮し、生き生きと行動する姿は微笑ましいという見方もできるかもしれません。しかし、飼い主はそういった時ほど愛犬が問題行動(愛犬と飼い主、他人、他犬に対して迷惑・危険となる行動)をとらないよう、細心の注意を払う必要があるのです。問題行動により命の危機に陥るという事例はニュースなどでいくつも取り上げられている通りです。
散歩時どのような危険や問題行動があるのか知っておく
起こりうることを想定してしつけや対処法を考えましょう。
- 引っ張り癖
グイグイ前進してリードを無視し、好きな方へドンドン突き進みます。犬が常に先行し、どちらが散歩されているのか分かりません。「好きに行かせてあげたらいいじゃないか」と思われる方もいるかもしれませんが、とても危険な行動だと理解ください。飼い主よりも前に出るということは、その道の先に何が待ち受けていても対処が遅れることになります。飼い主のそばを歩かせることで愛犬を守るという結果につながるのです。
- 誤飲、誤食
散歩の道中は様々なものが落ちています。犬たちは様々な臭いや気になる見た目に興味津々です。そして、それが何かを確かめる意味でも口に入れてしまうことがあります。さらに犬には習性的に生えている草などを食べるという行動をとる子もいます。そういったことから食べてはいけないものや犬にとって害となるものを飲み込んでしまうケースがあるのです。
- 他人や他犬に対する行動
飼い主以外の人やお散歩をしている他の犬たちにどのように反応するのか知っておきましょう。中には社交性がなく、接するのが苦手な子もいます。興奮が強く、衝動的な行動(激しく吠える、威嚇する、咬みつくなど)を取るようなケースもあります。
様々考えられる危険はその対処法とトレーニング方法をご家族で話し合うようにしましょう。
お散歩のあり方
「お散歩はきっちり毎日行ってあげるもの」と思っている方も多いのではないでしょうか。毎日行ってあげることができれば愛犬も喜ぶことでしょう。しかし、そこにちょっとした落とし穴があるのです。散歩が「毎日行ける楽しいもの」で、なぜいけないのか。毎日、なおかつ同じ時間に行くことが習慣化してる場合、犬はそれが当たり前と思うようになります。そうすると「早く連れて行け!」と催促が始まるのです。心当たりのある方もいるはずですね。
それは、「時間を理解していてお利口」というような認識ではいけないのです。きっちりお散歩に連れて行く飼い主は、言わば奴隷です。その愛犬の認識は、「散歩に行くぞ!連れて行け。ついて来い。」なのです。それは愛犬をワガママにし、要求が通らない場合には大きなストレスを感じる事態となってしまうのです。前記した通り、お散歩には非常に大きなメリットがあります。散歩に出ることは大切なことです。しかし、「お散歩」のあり方、認識としては「飼い主の散歩に付き合わせる」といったイメージを持っていただきたいのです。毎日従順に、決まった時間に無理してまで行く必要はありません。(※お世話をするなという意味ではありません。)ある程度飼い主の勝手で決めてしまって良いのです。「今日は行けない日」を作ってしまいましょう。そうすることで愛犬の認識は「行けないこともあるんだ」「あ、今日は行ける日だ。ありがたい。」といった具合になってきます。
行けないことへのストレスは減り、激しい催促もしなくなります。散歩への喜びも増し、飼い主の行動に従うという感覚も養われるでしょう。良かれと思ってしてあげていたことが実は愛犬にとってストレスの原因となることがある、そういった感覚も少し持っていただければより良いお散歩ライフを楽しめることでしょう。
といったように、「お散歩」を上手く使いこなすことができれば理想的なドッグライフに一歩近づくことができるというわけです。さあ、今日からお散歩トレーニングを開始しましょう。道のりは、簡単ではないかもしれません。試行錯誤しながら根気強くトライしていくことが愛犬とそのご家族のより豊かなドッグライフに導いてくれることでしょう。
我々ドッグトレーナーもお力になれることがあろうかと思います。愛犬を良きパートナーとすべく、ともに成長をしていきましょう。