タグファーツ 長尾先生のコラム
テーマ:「吠え」
今どこからか犬たちが来客に吠えたてる声が聞こえています。昨今、「犬の吠え声を聞いたことがない」という人はほぼいないのではないでしょうか?犬に吠えたてられるとうるさいと感じるでしょう。人との会話もままならないことだってあります。吠えるのを止めて欲しいというのはいつでも飼い主さんのしつけに関するお悩みNo.1です。
さて、どうすれば静かにおとなしくしてくれるのでしょうか?
なぜ吠えるの?
まず大切なのは「なぜ吠えるのか?」を知ることです。「ムダ吠え」とよく言われていますが、ムダに吠えている犬なんてほぼいないのです。
吠えること、それは本能です。例えば、幼い仔犬が「クーン、クーン」と鳴いています。寂しいのか、お腹が空いたのか、かわいいものですね。しかし、これも「吠え」なのです。犬たちは初め、自分の要求を伝える手段として鳴き、吠えるのです。
例えば、家の中から外に向かって必死に吠えています。急に吠えだして飼い主さんもビックリしますね。これは、「威嚇(いかく)吠え」という「吠え」をしているのかもしれません。犬たちは自分自身やテリトリー(自分の家、居場所)そして、飼い主をはじめとする自分の家族を守るため、必死で吠えているのです。
この他にも、テンションが高まりすぎて吠えてしまう「興奮吠え」や怖くて吠えてしまう「恐怖吠え」など様々な吠える理由があるのです。こうやって吠えることを使って自分の感情を伝えようとしているのですね。
ただ、これを考えれば吠えを止めさせることは本当に必要なのか?吠えていてもいいじゃないか?と思う人も出てくるかもしれませんね。
吠えてはいけないの?
ではもう少し犬たちにとって本能である吠えること、それを放置することで起こる問題に目を向けてみましょう。
まず吠えというのはドンドンとエスカレートしていく、ということを覚えておいてください。要求にドンドン応えてあげれば「吠えれば応えてくれるんだ」ともっと大きな声で要求するようになるし、時間も覚えて「もっと早く!」と日も登らないうちから吠えるようになります。
威嚇(いかく)吠えも放っておけば、吠える本能が活発になり助長していきます。ちょっとした物音で飛び起き吠えだすし、お散歩のシーンでは歩行者の人をビックリさせてケガをさせてしまった、なんてことも実際に起こっています。それが犬という生き物なんですね。
そこで気にしなければならないこと、それは周辺の人々や環境への迷惑などを考えることです。人間社会で暮らすこと、その中で自分よがりになって吠えさせ続けることは決して愛犬のためにならないということをここでしっかりと申し上げておきたいと思います。
そして次には、愛犬の心のありようを考えることです。本能で吠えているこの犬たちは果たしてそれを楽しんでいたりするのでしょうか?いいえ、決して楽しんではいません。(吠えることを仕事としている犬たちは例外です。)というのも、吠えている犬たちはみんな必死に吠えているからです。
要求に応えてほしくてイライラ、誰か知らない人が来るのではないかとソワソワ、テリトリーや飼い主を守らなくちゃとピリピリ。そのストレスというのは計り知れないものがあります。ストレスを与えすぎた犬たちは心の病にかかってしまいます。そこから本当の意味での「ムダ吠え」が始まってしまうのです。
こういった問題点に目を向けていくと、今いるほとんどの飼い犬たちには吠えることを止められるように教えていかなくてはいけないということが分かりますね。飼い主たちは周りの人々や環境のこと、そして愛犬のことを考え、吠えを止められるようにしつけていかないといけないのです。
では、いよいよここからしつけの方法を考えていきたいのですが、長くなってしまいましたのでまた次回、順を追って考えていくことにしましょう。
迎え入れたその子は家族です。家族のことを考えられるならしつけもがんばれるはずです。
しつけは根気と工夫です。そして、家族だけでの解決が難しければプロの手を借りることも大切です。
みなさまがご自分の愛犬を良きパートナーとして育てていってくれることを期待しています。
ドッグライフサポート タグファーツ
代表 長尾毅