タグファーツ 長尾先生のコラム
テーマ:「リードの使い方」手綱を放すな!?
よく見かける愛犬との楽しそうなお散歩風景。飼い主とリードをはしゃいで引っぱり、一所懸命に臭いを嗅ぎながら前を歩いています。そんな犬たちを見ていると微笑ましくも、少し心配になります。多くの飼い主がリードを正しく扱えていない現状を目の当たりにして、犬たちが危険な目に合いやしないかと心配なのです。リードを正しく扱うことができれば、愛犬のコントロールや飼い主の意思の伝達がより容易になることを飼い主は知っておくべきなのです。
ではまず、「なぜリードが必要なのか」ということから知っていきましょう。「リード」とは愛犬をつなぐロープのことです。お散歩に出かける際には必ずリードを付けて出かけますね(散歩の必要性については「コラム・愛犬とのお散歩」を参照ください)。愛犬に付けたそれは、愛犬との命綱です。外の世界に出た犬たちは好奇心いっぱいに駆け出したり、逆に怖がり逃げだしたり、様々な反応を見せることでしょう。その時、リードを付けていなければ思わず道に飛び出すこともあるでしょう。遠くまで逃げ出し、呼び戻せなくなることも考えられますね。そうなった場合、愛犬の安全は保障されません。リードは必ず付けることです。それが愛犬の命を守ることにつながると知りましょう。
ただ、「しっかりとしつけができていればリード付けない(以後ノーリード)でも平気なのでは?」「欧米などではノーリードは割と普通じゃないの?」という意見も出てくるかもしれませんね。確かに「しつけ」を行う上でノーリードでもしっかり飼い主についてくるようにトレーニングすることは必要なことです。欧米のように愛犬とのお散歩専用道が整備されていたり、一緒に入れるお店なども多い環境であれば周りの理解も得られやすいでしょう。しかし、今の日本の環境ではそれは難しいことです。周りの理解の問題や国土の広さの問題も相まって、ノーリードで散歩できるための安全の保障はないのです。いくら「うちの子は完璧にノーリード散歩ができる!」と豪語していても、何があるか分からないのです。
例えば、急に何かに追い立てられるというケースや、非常に気になる何かを見つけてしまい駆け出すケースもあるかもしれません。そこは自分たちだけの場所ではないのです。時に、周りがそれを許さないこともあることを知りましょう。
次に、リードの使い方について知っていきましょう。リードにはお散歩の際に命綱の役割があることを理解いただけたかと思います。しかし、使い方としてそれだけではもったいない。「しつけ」にしっかり使ってこそ、リードの真価が発揮されるのです。つまり、「外だけ」で使うことなかれ。室内でも付けて、使っていきましょう!ということなのです。室内で付ける必要性はあまりないように感じますが、実はしつけにおいて非常に効果のあることなのです。
愛犬にとって飼い主の家は縄張り(テリトリー)となる可能性が非常に高いと言えます。自由過ぎる空間ではテリトリーの意識は高まり続け、自由がゆえにわがままにもなっていきます。そんな時、リードを付けられ制御されることで「やっぱりここは飼い主さんの管理している場所なんだ」という意識が芽生え、テリトリーを守ろうとすることや、わがままな行動を制御できるようになるきっかけになるのです。たまにリードにつないであげても構いませんし、付けっぱなしにして室内散歩を楽しんでも良いでしょう。リードを引いて「ここにいてね」としてあげても構いません(注意:リードを付けているときは、目を放さないようにしましょう)。
かわいそうと思われる方もいるでしょう。しかし、初めのうち犬にとって窮屈に思うこの状況が、「飼い主に従う意味や喜び」を感じることや「飼い主に任せておけば安心」という思いに変わってきます。そうなれば、日々の生活がお互いにストレスの少ない、安心のドッグライフになること間違いないでしょう。
こういったようにリードには様々な使い方ができ、「しつけ」による効果が期待できるアイテムということを理解して日々のトレーニングに生かしてもらえたらと思います。
最後に1つ、「リーダーウォーク」について説明しておきたいと思います。「リーダーウォーク」とはリードに従って歩かせる歩行トレーニングの事です。リーダーウォークを行うことによる効果は飼い主に従って歩くことでお互いに主従関係を意識できることです。愛犬が主従を意識することは飼い主の言うことを聞いてもらうためには必要不可欠と言って良いでしょう。ぜひ、リーダーウォークにチャレンジしましょう。
まず、リーダーウォークを行う前に必要条件を整えましょう。
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リードに慣れていること
慣れていない状態では、リードを使ってトレーニングはできません。
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愛犬と信頼関係を意識したコミュニケーションが取れること
スキンシップやアイコンタクトなど。
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リーダーウォークを行う際のポイントをしっかり学び、押さえておくこと
ポイントはぜひ我々ドッグトレーナーなどに聞いていただくことをお勧めいたします。
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愛犬の反応をしっかり観ること
リーダーウォークによる効果は個体差があります。
以上の事に気を付けてリーダーウォークを行うようにしましょう。
リードは言わば飼い主と愛犬との絆をつなぐ手綱です。決してないがしろにすることなく使っていただきたいと思います。その手綱を放すことなかれ。初めはみんな心もとない糸のようなものでも、トレーニングを通じてより強固な綱にしていけます。
我々ドッグトレーナーもお力になれることがあろうかと思います。愛犬を良きパートナーとすべく、ともに成長をしていきましょう。